ぬえです。(@deepspaceout12)
今回おすすめしたい本は、著者原研哉さんの「デザインのデザイン」です。
この本を読み終えて、私はデザインのことがさらに好きになりました。読み返すたびに新たな発見があります。個人的に疑問だったデザインとアートという分野の違いを、明確にいいわけており、非常にすっきりとした気持ちになれました。
著者の原研哉さんは、無印良品やEx-formationプロジェクト、長野冬季オリンピックのプログラムデザインなど、数多くのデザインを手がけるグラフィックデザイナーです。
デザインを言葉にすることはもうひとつのデザインである

この本を手に取ったのは、「デザインのデザイン」という挑戦的なタイトルに目を奪われたからでした。ある種の言葉遊びのように思えなくもないですが、それでも尊大だよね と感じずにはいられませんでした。
しかし、ページをめくった冒頭の言葉に、そんな考えを払拭させられるのです。
デザインを言葉にすることはもうひとつのデザインである。(P.1 まえがき)
日頃から「デザインとはなんぞや」と頭を抱えていた私にとって、この言葉は懐にスッと入ってきました。そうしていきなり心を掴まれたのです。
この本はおそらく5回ほど読み返しており、読み返すごとに新たな発見があります。私にとってこんな本は珍しいです。
内容は、これまでのデザインの歴史を紐解きながら、原研哉さん自身のデザイン思考を綴ってあります。冒頭での「デザインを言葉にする」との通り、抽象的な表現を、他にはない言葉の組み立て方で説明しており、センスを感じずにはいられません。
本は2003年に書かれたものですが、そんなことを感じさせないほど。
インターネットやソフトウェアの技術が上がった現代では、簡単にかっこいいデザインを作れたり、イラストレーションを描けたりしますよね。
そうした現代のグラフィックデザインの在り方を通し、視覚だけに頼らないグラフィックデザインの在り方を丁寧に綴っています。
新しい名称はひととき新しい何かを捉えているかもしれないが、時代のうつろいとともに色褪せてしまいそうである。軽々と何かを捨て去って何かに乗り換える行為は軽率である。(P.220)
このように強く言い切っています。インターネット世代である私からすると、思わず「ふんふん」と読み込んでしまいました。
デザインをわかりたい人達へ
帯に「デザインをわかりたい人達へ」と書かれていますが、正直なところデザインの基礎やコツなどが書かれたものではないので、「デザインを一から勉強したい」人にはおすすめしません。
この本は下記のような内容です。
デザインのルーツから、デザインがどのように人間に影響を与えており、そもそもデザインがなぜこの世に存在するのか?
私のような「いろんなデザイン本を読んだけど、どんどんデザインが分からなくなっている」「デザインをもっと深堀したい」と考える方におすすめできますね。
読むたびにデザインが好きになる
デザインとは、もの作りやコミュニケーションを通して自分たちの生きる世界をいきいきと認識することであり、優れた認識や発見は、生きて生活を営む人間としての喜びや誇りをもたらしてくれるはずだ。(P.2)
「デザインとは何ぞや?」そんなことを考えれば考えるほど、どんどん「デザイン」が分からなくなっていきます。
そうした迷宮の中で、この本は新しい一つの入り口を提示してくれるようなものでした。
回りくどい表現だなとか、難しい言葉選びだなとか、最初はそう感じていたのですが、繰り返す読むうちに言葉がスッと入ってくる時があり、この本の全体がなんとなく分かるようになってきます。
そしてこの本自体も「デザインされていた」ことに気がつき、心を奪われるのです。
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