
このページでは、「発達障害者がフリーランスとして生計を立てるための考え方」について書いています。
発達障害者が自立して社会を生き抜くのって辛いですよね。この生き抜く過程を「航海する船」に当てはめて考えてみたら、意外に納得する要素があったので、この例を使い解説していこうと思います。
※今回紹介する例えは私の妄想ですが、発達障害の私がデザインで食べていけるようになるまでの実体験から考察したことなので、再現性はあると思います。
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01
私がデザインで生計を立てられるまで【ハイライト】

私はADHDとASDを併発している発達障害者(2級)であり、フリーランスのデザイナーです。現在はデザインだけで生計を立てています。
私のデザイナー人生は、最初に入社したデザイン事務所から始まりました。期待に胸を膨らませた入社したのがはじめ、そこから挫折に続く挫折で、まるでしぼんだ風船のようにしわしわな人生に成り下がっていきました。

いろいろなことから逃げたし諦めたけど、どうしてもデザインで食べていきたかった..。理由は「デザインが好き」ってだけです。自分なりに試行錯誤しました。
その試行錯誤期間というのは、まるで社会という大海原で波に飲まれながら荒波に立ち向かっていくような感じでしたね。
「フリーで生計を立ててます」というと、「努力してきたんですね」と言われたりします。いえ、私は努力をしていません。私は嫌なことから徹底的に逃げたし、改善できそうなところだけ工夫で乗り越えているだけでした。
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02
発達障害者が自立して生計を立てるうえでの弊害

発達障害者は、みんなが普通にできることが上手くできません。
職場で空気が読めず、場をしらけさせる
お金の計算が苦手でいつも請求書を間違え、怒られる
スケジュールと時間の管理ができず、いつも遅刻して怒られる
多くの人は上記のような経験があるのではないでしょうか。辛いですよね。しかもやっかいなことに「どう改善したらいいのか分からない」んですよね。
発達障害者にとって社会の中で自立することは、まるで波風の強い大海原を底に穴が開きまくった船で進んでいくような感覚といえます。さらに突風もびゅんびゅん吹いてるものだから、進むどころか船が後退してしまい、最悪の場合沈没してしまうかもしれません。
波風を受け止めながら社会を生き抜く(自立)ためには、自分という船を強化するのが大事です。この記事でいう船とは、以下のような要素で成り立つものとしますね。
自分という「船」、社会という「大海原」
ここからは、「自分自身」を「船」と例えて話を進めます。

自分という船は、以下3つの要素で作られます。
- 船体は「環境」
- 船乗りは「心」
- 帆は「スキル」

さらに、社会を「海」、風や波を「生きる上で立ちはだかる問題」とします。
この母船がうまく作られないと、それこそ人生は順風満帆にはいきません。
次の項目からは、社会を自立して生き抜くために、それぞれ3つの要素を作るコツを解説しますね。
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03
発達障害者がデザインで生計を立てるための環境(船体)

発達障害者にとって環境(船体)は、社会で安定した体制を取るためには大事な要素です。
とにかく、自分にとって心地よい環境を作りましょう。

電話しながらメモができない
3人以上と会話できない
休憩時間の雑談が苦手
例えば上記のような苦手特性がある場合、そういう環境から「逃げる」か「工夫して乗り切る」の2択を選びましょう。ただ、内向的な人にとっては「逃げる」という選択肢は難しいかもしれません。
電話しながらメモができない→「電話対応できない私は社会人失格だ」
3人以上と会話できない→「コミュニケーション能力がない私は社会人失格だ」
休憩時間の雑談が苦手→「協調性がない私は社会人失格だ」
こういう風に考えてませんか?もしかしたら、「逃げる」こと自体が「悪い事」のように感じてしまうのかもしれませんね。これは、社会や人に自分が抑圧されてきたことが原因です。「みんなと同じようにしなきゃいけない」「他人に迷惑をかけてはいけない」と、潜在意識に刷り込まれているのではないでしょうか。
私は、発達障害の有無関わらず、人はグラデーションがあるからこそ面白いと思ってます。多様性を認め合う社会になってくれればいいんですが、現代ではそうもいきません。なぜなら、「このグラデーション」を一切認めない人が実際に世の中にいるからです。
そういう職場に属したり、そういう人のそばにいると、「心地よい空間」を自分が望むことを悪いことだと思ってしまいます。

強調しますが、「自分にとって心地よい環境を選ぶ」ことは悪いことではありません。
電話が苦手ならメールだけで対応する(電話対応を強制する会社から辞める)
対面で打ち合わせが苦手なら、メールだけで仕事のやりとりをする
人の動きや音に敏感に反応してしまい集中できないなら、耳栓して個室にこもる
こういう考え方は、すべて「自分の心地よさ」を目指した行動です。まあこれ、私のことなんですけどね。
障害というラベルの有無で人を判断しない人のそばにいると、自分の心はとっても安定していきます。どうしても「苦しいな」「嫌だな」と思う場所や人からは、逃げて大丈夫なんです。
じっと自分の胸に手を当てて、自分が本当に嫌な空間を考えてみましょう。そしてその環境を「どうやったら変えられるか?」を考えてみてくださいね。
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発達障害者がデザインで生計を立てるための心(船乗り)

発達障害者にとって心(船乗り)は、船の行先を定めたり問題を避けたりするために船を誘導する要素です。ちなみに「心」とは、「あなたの心そのもの」ともいえますね。
心の大部分は、これまでの経験で得た他人からの評価でできています。
例えば、昔から「お前はだめだ!」「それは間違っている!」「なんでできないんだ!」みたいなことを言われ続けると、弱い心をつくっていきます。逆に「あなたはすごいね」「素敵だね」と言われ続ければ、心は弱くなりません。
分かりやすい例でいえば、ゲームでいうところのHPケージを想像してもらえると分かると思います。アレが減っていくほど心が弱くなっていく感じですね。
じゃあ心を強くすればいいんだ!..と思った時期も私にはありました。弱い心の持ち主が無理すると「自分を傷つけたり」してしまうことがあります。これでは自分によくありません。

心の持ちようは、その人の個性です。「自分は内向的だな」と思うなら、それがあなたの個性。個性自体はいいも悪いもありません。その個性に対してネガティブな評価をする他者や自分がいけないのです。
些細なことにすぐ動揺してしまう
集団行動が苦手でひとりが好き
人前で話すのが苦手で体が硬直してしまう
もう一度いいますね。このような性質は「あなたの個性」です。な~んにも悪い事ありません。「こんな自分はだめだ!」と否定的ではなく、フラットにありのまま捉えなおす、という作業が大事なんです。
そもそも、人はみんな「違います」。この「違う」部分は性格だったり外見だったり性別だったりと、いろいろですね。みんな違って大丈夫なんです。

これは最初の「環境」の話と通じますが、「弱い自分」をそのまま見てくれる人や職場にいると、自分の心も素直に受け入れられるようになります。そういう意味では、心地よい環境があってはじめて心が安定していくといえますね。
05
発達障害者がデザインで生計を立てるためのスキル習得(帆)

発達障害者にとってスキル(帆)は、船を進めるための要素です。
帆は船の進行方向をさだめ、風を捉えながら進んでいくために必要ですよね。自立して社会(海)を生き抜くには、スキル(帆)が大事だということがが分かると思います。
スキルを習得する上で大事なことは「納得」です。
発達障害の方はこだわりが強く「本当にやりたいこと」以外興味を持てません。なので、「嫌だけどこれやっとくとくか」と打算的に考えて学んだことは、大体続かないんですよね。
なので、気が進まないことはやらない!得意なことだけ伸ばす!ってのが、一番自分の強みを伸ばしやすいんです。

まず自分の得意領域をずらっとキーワードで出してみましょう。その中から2つを繋ぎ合わせて、なにか新しいことができないか考えてみてください。
すると、これまで考えつかなかった自分の得意分野が見えてきたりします。それがあなたの「新しいスキル」になりえる要素です。
それをとにかく伸ばす。そして勝負する。これにつきます。
納得を無視して頑張って学んだことって、得られるものは少ないんですよね。それよりは「これいいかも!」で選んだことのほうが、何倍も吸収できるし、なにより楽しいです。
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おわりに

おさらいしてみましょう。
環境→自分にとって心地よい環境をつくろう
心→ありのままの自分を捉えよう
スキル→自分が納得することをひたすら学び続けよう
発達障害者が社会で自立していくためには、「環境」「心」「スキル」の3つが大事です。順番としては「まず自分を心地よい環境に置き、そこで自分を受け入れ、好きなことを磨いていく」といった流れがいいと思います。
※ちなみに「人生失敗したくない!」と、沈没することを恐れすぎる必要はなしです。沈没したら、これまでの経験を生かして強くてニューゲームすればいいだけですからね。大丈夫、きっとやれます。
内向的な人ほど、まずは自分自身について否定的ではなく、フラットにありのまま捉えなおす、という作業がとっても大事です。
この記事が、生きづらさを解消するヒントを探す人にとって参考になってくれると嬉しいです。
※また、私自身も現在進行形で「社会という荒波」に立ち向かっている最中です。そこで学んだことや経験したことを、このブログで共有していくので、もし生きるのが辛くなったらまた覗きにきてくださいね。
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