【ADHD】発達障害デザイナーとしての働く上での生存戦略【理由】

困ったひと
小さい頃から好きだったデザイナーになれたのはいいものの、想像以上に細かい作業が多く凡ミスを連発中。その理由が発達障害だと知り、悲しくて仕方がないです。障害はデザイナーにとってマイナスでしょうか?こんな自分を肯定する言葉が欲しいです。

 

発達系の課題を抱える人にとって、デザイナーの業務って想像以上に複雑です。

 

入稿データ不備、ミリ単位のズレ、校正ミス、納期忘れ、インターネットという誘惑との葛藤など、身に覚えのある人は多いのではないでしょうか?

 

私たちADHD当事者は、多くの挫折や失敗経験から、自己肯定感が低くなりがちです。

 

※私もその例にもれず、自分に自信が持てなさすぎて一度デザイナーを辞めています。

 

しかしその後、デザイン業界に戻り計6年ほど経験した後、フリーランスのデザイナーになりました(現在約3年目)戻ってきた理由は「やっぱりデザインが好きだから」です。

 

これまで様々な苦労や失敗を重ねて来ましたが(もちろん現在も)今になって思えば、そもそも発達障害だからってデザイナーに向かないことはないと思うのです。

 

※なぜかと言うと、「発達障害」は、あなたの人生を束縛するものでも、あなたのしたいことを制限するものでもないから。

 

ぬえ
こうした考え方に行き着いたのは、自分の脳の構造を知るようになってからでした。

 

この記事は、「デザインが好きだけど、発達障害の自分に自信が持てない人」へ向けて書いてます。「発達障害はデザイナーに向いているのか?」という疑問について実体験を交えつつ深堀りしながら、「発達障害デザイナーの生存戦略(私流」をご紹介します。

 

 

 

多くのADHDデザイナーは苦労している(実体験)

私含め、周囲の発達系の課題を抱えるデザイナーたちは苦労しています。

 

【その1】自分を改善しようと努力し自分を壊す(ADHD&ASD併発 友人Aの話)

ぬえ
ASD ADHD併発 Webデザイナー 友人Aの話

友人Aはうっかりミスや、凡ミスを繰り返す自分が嫌いでした。人とのコミュニケーションもズバ抜けてうまくはなく、「友人が少ない」というコンプレックスを解消するために、ある時社内交流の多い職場に転職します。

 

しかし、ここで人間関係に疲れ心を壊したのです。

 

どこへ行っても社会のルールに縛られてしまう。ルールに束縛されない環境はないか

 

そこで選択したのが「ベンチャー」でした。大手や中小のように資本力がないスタートアップベンチャーでしたが、その分教育制度がなく、出勤時間も自由で、仕事をこなせばOKという、とても「自由」な社風でした。

 

スタートアップ特有の皆血気盛んに同じ目標に向かって挑戦し続ける環境が、自分の背筋をピンと伸ばしてくれるようでとても良い影響を受けたのだそう。

 

そうして日々純粋なスキルを問われ、勉学に励み続けているそうです。

 

※彼の場合は、定型発達の作り上げた「ルールや規範」で縛られた環境では、本来の能力が発揮できなかったのです。

 

【その2】コミュニケーションに過剰なコンプレックスを持ち孤立(ADHD 友人Bの話)

ぬえ
ADHD グラフィックデザイナーの友人Bの話

コミュニケーション能力が低いと自負している友人Bは、どんな職場でも「冷たい人」とレッテルを貼られてしまいます。

 

いじめを受けているわけではないけど、独特の空気感を醸し出しているようで、「心を開いてくれない人」とよく思われてしまうのだとか。

 

何もかもを悪い方に考えてしまうせいで、相手の一言の裏を読んでしまい、必要以上に落ち込んでしまったりと、人間関係において疲弊するそうです。

 

そんな彼が選んだ働き方は「リモートワーク」でした。いわゆる在宅勤務ですね。

 

前職のデザイン事務所でお世話になった上司からお仕事をもらいつつ、丁寧な仕事ぶりが口コミで広がり、他デザイン事務所も外注という形で彼に仕事をお願いするようになったのです。

 

※会社に通う必要もなく、人と顔をあわせる必要もない。そんな環境下なら、自分のパワーを最大限に発揮することができることが分かったのです。

 

【その3】相手が求める誰かを演じることができる(ADHD&統合失調症 スキゾイド併発 友人Cの話)

ぬえ
統合失調症&スキゾイド Webデザイナーの友人Cの話

彼女は1人が好きでした。

 

小さい頃から現実離れした妄想をすることが好きで、大人になった今も変わっていません。あまりにも現実から乖離した妄想で、「頭大丈夫?」と言われる経験も多かったそうです。そうした発言の蓄積が、「私って病気なの?ダメな人間なの?」という意識を作っていきました。

 

※一時期はそういった妄想癖の自分を捨てようと努力したそうですが、どうしても難しかったそうです。

 

そこで彼女は、社会生活を送ることが困難な本来の自分を心の奥にしまいつつ、社会生活を送るもう一人の自分を作り上げることにしたのです。

 

定型発達の人からすれば、「二重人格?」と思われそうですが、彼女の場合は、相手が求める人間(仮面)を演じることが得意でした。これはスキゾイド特有の性質です。

 

※自分を殺さず、もう1人の自分を作る。その意識を持ってからグッと生きやすくなったそうです。

 

「ADHD(発達障害)はデザイナーに向いている」は誤解なのか

ぬえ
発達障害系の書籍を読み漁ってみると、「発達障害はデザイナーが適職」と書いてあることが多くないですか?

 

デザイナーとして苦労や挫折を繰り返してきた私からすれば、「これってなぜなんだろうな」って思ってました。

 

関連の書籍には「発達障害にとってデザイナーが適職な理由」がこんな感じに書いてます。

 

  1. コミュニケーション能力が不要
  2. 発想力を活かせる
  3. 過集中を活かせる

 

※もちろんこれらを否定しませんが、半分正解で半分不正解だと思ってます。違和感を感じてた部分を具体的に解説していきます。

 

【違和感その1】コミュニケーション能力が不要?→NO

ぬえ
デザインとはコミュニケーションです(断言

 

僕はデザイナーの仕事を、舞台の「演出家」にたとえています。
良い舞台をつくるために、役者同士をきっちり采配するのがデザイナーの役目なのです。

(引用 : たのしごとデザイン論 / カイシトモヤ)

 

机の上で軽くほおづえをつくだけで世界は違って見える。ものの見方や感じ方は無数にあるのだ。その無数の見方や感じ方を日常そのものやコミュニケーションに意図的に振り向けていくことがデザインである。

(引用 : デザインのデザイン / 原研哉)

 

多くの現役デザイナーは、『「デザイン」とは「コミュニケーション」と密接に関係している』と説明します。

 

※私自身も、初めて入社したデザイン事務所のオーナーから「デザインはコミュニケーションなんだよ」と教わりました。

 

たとえば、いくら素晴らしいデザインでも人に伝わらないと意味がないですよね?

 

「良いデザイン」ができる人とは、人に伝える力、相手とかかわる力、つまりコミュニケーション能力が高い傾向にあるんです。

 

超スタイリッシュなデザインを提出して、お客さんに「このあしらいってどういう意味なんですか?」と聞いた答えが「なんとなくです」だったらどうでしょう?

 

そのあしらいも、コンセプトも、全て言葉で説明できないと相手には何も伝わりませんよね。

 

※デザイナーは、パソコンに向かって延々と作業するだけの人ではなく、コミュニケーションする人です。

 

【違和感その2】発想力を活かせる→半分YES

ADHD傾向の人は、突拍子もないアイデアをよく思いつきます。

 

時には斬新な発想が役に立つこともありますが、これまでのデザイナー歴から見ても、役に立ったことはほんの数回です。

 

それ以外は、頭の中を散らかせる厄介な能力なんです。

 

ぬえ
その原因は、「デザイン」という言語の由来を辿ると分かります。

 

デザインというのはその語源を辿るとラテン語で「整理する」という意味である。

(抜粋 : ポスターを盗んでください / 原研哉)

 

デザインの本質はコミュニケーションであると言いましたが、実はもう一つあります。それが「整理」です。

 

グラフィックデザインとは、『複雑な情報を、必要なもの以外削ぎ落とし、整え、綺麗にする』という、視覚効果を利用し見る人に伝えたい情報を伝える手段なんです。

 

この「整理」という作業ですが、ADHDにとっては大の苦手です。机の上がモノで溢れ、いつも探し物をしている…身に覚えはないですか?

 

ぬえ
発想力に身を任せすぎたせいで頭の中の大量の情報が散らかり、必要なものが分からずパニックになることを何度も経験しました(涙

 

【違和感その3】過集中を活かせる→半分YES

ADHDの特性である「過集中」は、型破りな事に挑戦し続ける能力を兼ね備えています。

 

興味のあることにはとことんまで熱中し、学習しながらスキルを獲得できるんです。目新しいことなどに敏感で、刺激的な環境を求めてしまう精神もあり、仕事でも才能を発揮することもあるでしょう。

 

ここまでの説明だとメリットしかないですが、デメリットもあります。例えば、作業に集中しすぎるせいで、周りに一切気を配れなくなること。

 

この世の中のルールや、人間関係のあれこれ、スケジュールの管理や、会社でのルールなど、そのほとんどは「定型発達」によって作られています。

 

ADHDの過集中に身を任せすぎると、そんなルールから逸脱してしまいがちなんです。

 

 

デザイナーとして生きていくための生存戦略

上記のような特性を踏まえながら、私が習得した生存戦略を具体的に書いていきます。

 

【戦略その1】自分に適した『環境』を知れば突破口になる

 

  • 注意散漫
  • 細かなミスが多い
  • 計画的に作業できない
  • 興味関心がコロコロ変わる

 

ADHDは以上のような特徴があることから、事務作業には向かないと言われています。

 

ですがそのような特徴の影に隠れるように、事務業としてバリバリに働くADHDもいたりするのも事実です。

 

このような人の特徴は、「自分のパフォーマンスが上がる環境を知っている」特徴があると思います。例えば私を場合を例にあげると

 

コミュニケーションが得意ではない
複数人で話せない(頭がパンクする)

 

このような特徴を、以下のように解釈するんです。

 

複数人で話せない(頭がパンク)→1対1での会話は得意

コミュニケーションが得意ではない→文章なら丁寧になれる(考える時間があるから?

 

このように、苦手から得意なことを導き出せば、得意な土壌(環境)がわかってきます。そこで全力で戦うのです。私は以下のような環境づくりをしています

 

  • 基本的にはリモートワーク
  • 打ち合わせは極力はぶき、メールや電話での対応(その分丁寧に

 

自分に合った土壌を作り上げることは、簡単なことではないですが、コツがあります。それは、自分の脳の構造を知ることです。

 

【戦略その2】自分だけの『説明書』を作る

(上記の続きです)自分が発達障害だったことを知ると、誰でも最初は不安になると思うんです。

 

私の場合は、デザイナーとして働き数年間は、自分が障害を持っているなど思ってもなかったです。

 

皆が言う「普通」を目指し努力を怠らず、だけど結果が出ず失敗し、挫折、自己嫌悪を繰り返してきました。

 

自分が発達障害だと知るのは辛いと思います。プライドがあるならなおさらですよね。

 

だけど、そこから一歩先の「自分を知る努力」を続けられる人は、自分の土壌を作れる人だと思います。

 

ADHDが発動して細かな校正でミス連発したり、納期を逃してしまったり大変だったけど、今では薬で制御できることを知ったし、苦手なこと捨てて他人に頼ってもいいってことを学びました。

 

どうか自分をけなさずに、いいところを見ようと努力してみてください。そして皆が言う「普通」に合わせようとせず、自分だけを見つめてください。

 

【戦略その3】終わらせることを覚える

好きなことには没頭してしまいがちな発達障害の人にとって、「終わらせること」がなかなか苦手です。

 

私も昔、寝る間も惜しんでミリ単位の調整に時間を割いていました。

 

※しかしその行為が、納期を引き伸ばし、コストをただ引き上げる行為だと感じるようになったのは、個人で仕事をするようになってからです。

 

ぬえ
リリース間近に迫った案件で、延々とミリ単位調整を繰り返すのは、ただの自己満足..!

 

もちろん、1px単位の調整の試行錯誤が無駄とは言いません。しかし、「何が必要で、何が不必要か」を見極める能力が、私たちデザイナーには必要です。

 

 

最後に :「発達障害」に人生を束縛されちゃいけない

私が例に上げた友人や私自身含め、共通していることが1つあります。それは「デザインが好き」という点です。

 

「好き」「得意」という、明確な意思は、発達障害というハンディキャップを克服できるパワーへと変わります

 

冒頭でも言いましたが、「発達障害」は、あなたの人生を束縛するものでも、あなたのしたいことを制限するものでもありません。

 

他人と比べてしまうと、特性の偏りが目立って嫌になってしまいそうですが、そもそも脳の作りが違うので、比べること自体間違ってます。

 

確かに脳の偏りはあるけど、その反面人より優れた部分もあるのも事実です。そこを伸ばして差をつければ大丈夫ですよ。

 

※大切なのは「負けないこと」と「自己理解」です。

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