こんにちは、ぬえ@deepspaceout12です。
先日このようなツイートをしたんです。
「あとどれくらいで終わりますか?」という、ADHDの人にとっては、めっちゃ怖い言葉あるじゃないですか。あれに正確な返答ができる方法があって、それは『予測時間×3』で答えること。「大体20分くらいか?」という予測は100%外れるので、3倍の1時間くらいと答えると、丁度良いことが多いです。
— ぬえ@ (グラフィックデザイナー) (@deepspaceout12) January 16, 2019
※上記のツイートがそこそこ反響があったので、深堀りしながら『ADHDの時間見積もり』について解説していこうと思います。
私の簡単な自己紹介も合わせて。
普段はフリーのデザイナーとして働いています。常に時間に追われながら仕事をしていて、作業にかかる時間を、ある程度正確に計算できないといけません。
また、ADHD当事者でもあり、時間の見積もりが大変苦手です。結構いろんな失敗を経た後、便利な返答の仕方を思いつきました。
目次
「あとどれくらいで終わる?」は怖い
「あとどれくらいで終わる?」ほど、怖い言葉はありません。
なぜか?その理由は3つあると思ってます。
逆を言えば、これら理由を解消すれば、「あとどれくらいで終わる?」にも強くなれます。
「あとどれくらいで終わる?」にビクビクしていると、悪いことが沢山あります。あなたが、私と同じ失敗をしないよう、経験談と合わせ、参考になりそうな情報をここで共有させてください。
「あとどれくらいで終わる?」には、予測時間x3で答えるべき
コレです。
※誤解がないよう補足すると、『x3』の部分は、個人差があります。
係数は、最初は多くして、徐々に下げていくスタイルが良いです。(たとえば『x3』の部分は、10倍、5倍、3倍のように)
※あまりにも多すぎるのは考えものですが、大事なのは、自分に合った係数を見つけることです。
【メリット1】余裕のある報告は双方にとって良いこと
まず、「なるべく早い時間がいい!」と思ってしまいがちですが、早すぎると粗探しになるのがオチです。対して遅すぎると、怒られちゃうわけですが、この線引きが難しいですね。
なので、3倍するとちょうどいいあんばいになります。予測時間より倍を答えた方が、結果的に双方の和が保てます。
「怒られちゃわない?」
以下は、Twitterのフォロワーさんの言葉です。とても共感したので引用します。
ただでさえ人間の見積もり時間と言うものは、過少申告をしやすいものだよな。
日常生活で言うと、本当は10分遅刻しそうなのに、5分遅刻しそうと答えてしまって、15分、実際には遅刻してしまうとか。
余裕を持った見積もりを相手に伝えるのは、謎に申し訳なさがあって、つい過少申告。 https://t.co/Pf4bdtPayC
— いなうらゆうま@エンジニア – 稲浦悠馬 (@YumaInaura) January 16, 2019
余裕を持った時間を伝えるのは、謎の申し訳なさがありますよね。
経験から言わせてもらうと、大体の場合それで怒られることはなかったなあという印象です。
アメリカの経済学者、ニコラス・グレゴリー・マンキューは、「あとどれくらいで終わる?」と聞く側も、短く時間を見積もりがちだと言います。彼は、実際に部下の見積もり時間を、倍にして認識していたのだとか。
また、スタートレックという映画では、登場人物、モンゴメリー・スコット機関部長が、わざと長めに所要時間を申告し、それよりも短い時間で作業を済ませて自身の優秀性をアピールし、絶対的な信頼を勝ち取ったという描写があります。 : 参照『モンゴメリー・スコット(チャーリー・スコット)』)
ADHDの人の時間の見積もりには、時間にのりしろがありません。この『のりしろ』が、「x3倍」だと考えてみてください。
実際のところ、想定する時間よりは倍かかるものです。それと、想定より早く終われば、モンゴメリーのように印象加点されることもあり、比較的悪いことはないです。
私の場合
思い返してみれば、時間を多めに答えて失敗するパターンより、短めの時間を答えて失敗するパターンの方が、圧倒的に多いことに気づきました。
もし、「そんなにかかるの?」と言われたら、「はい、申し訳ないですが事実です」と答えるくらいの強い心も、時には必要ですよ。
※一応補足ですが、だからといって超長めの予測時間を伝えればいいわけではありません。大事なのは、双方の和を保つことです。
【メリット2】心に余裕ができる
※予測時間を3倍程度にすれば、それよりも前に業務終わっていることが多いです。すると自分の気持ちに余裕が生まれてきます。
そこから倍数を少しづつ下げてみてください。後に、正確な見積もりができるようになってくるはずです。
「どれくらいで終わりますか?」の恐怖に打ち勝つには
この言葉は、精神的負荷が大きいです。そんな負荷に負けないためのコツを、順にご紹介しますね。
【コツ1】プライドは捨てなくていい
※以下は、フォロワーさんの言葉です。
大変その通りなのに、頭の中で×3したはずなのに、口に出す瞬間に謎のプライドが勝手に÷2して身を滅ぼす https://t.co/whA8XCWYA1
— エンボス加工@ADHD/HSP (@emboss_adhd) January 16, 2019
発達系の課題を抱える人は、他者から否定される経験を少なからず持つ傾向にあります。すると、プライドが高まっていくのは当然で、おそらくそれは自分で自分を守っている防衛策なんじゃないかなあと思います
誤解なきよう補足すれば、防衛策でもあるプライドを、全部捨てる必要なんてないです。だって無理ですもん。
それよりも、自分の得意なことや打ち込めることを見つけて、自信をつけることが大事なんじゃないかなあと(これは別問題ですが
【コツ2】相手の意図を理解する
結論から言えば、相手のはっきりとした意図を知ると、自分のパフォーマンスが上がります。
発達系の課題を持つ人は、曖昧な言葉をきちんと受け取れない傾向にあります。たとえば、「あとどれくらいで終わる?」は、いろんな意味に取れませんか?
「もう時間がないんだけど、いつ終わるのかな」
「まだ余裕あるけど、いつ上がるか知りたいな」
「遅いぞ!このやろう!」
などなど、怒っているのか、怒っていないのかすら分かりません。ADHDの人は繊細な人間が多く、特にこの考察が激しい傾向にあるかと。
複数のことを同時進行するのは苦手だけど、一つのことを徹底的にすることは得意だったりしませんか?ADHD傾向の強い人は、ルールや目的、意図を明確にすれば、安定して行動できるわけですね。
※例えば、ADHDにとって経理の仕事は向かないと言われていますが、例に漏れる人がいます。ルーティーンを作ってその通り動いたら、苦手な経理の業務もこなせるようになったとか。
今回のまとめ
なんども言いますが、ADHDの人の時間の見積もりには、時間にのりしろがありません。予測時間を倍にすることは、時間に『のりしろ』を持たせることだと思ってください。
※また、係数は個人差があります。自分に合った数字を見つける工夫が必要ですね。
工夫のコツは、係数を最初は多くして、徐々に下げていくスタイルです。(たとえば10倍、5倍、3倍のように)
その際に、気をつけることは、ざっと以下。
怖がらない
余裕のある報告は、双方にとって良いこと
相手の質問の意図が分かると、恐怖は緩和する
(※「納期はいつですか?)など、具体的な質問して意図を探りましょう)
さて、ざざっと上から目線にも取られかねない解説で、お送りしましたが、私だって未だに正確な時間の見積もりができてないです。
「これかかりすぎでしょ」って思うんですけど、結局丁度イイんですよね..。まだまだだなあと思います。
予測されるタスク消化にかかる時間を3倍にして計画しても、結局締切ギリギリにならないと動き出せない無能ワイ
そうなんですよね。。つまるところ、例えば「学生の頃の夏休みの宿題を一晩で終わらす」という経験から、自分の力に過信が生まれ、全ての行いがギリギリになってしまうという..