当サイトでは主に発達障害のライフハック記事や、発達障害に踏み込んだ内容の記事などを公開しています。
そこで今回は、「発達障害」に関する認識・表現の誤解がないように、あらためて発達障害について定義しておこうと思いました。
この記事で分かること
- 発達障害の種類を知りたい
この記事がおすすめな人
- 自分が発達障害だと思っている人
- 自分が発達障害かどうか知りたい人
簡単な自己紹介 : 私は2015年に発達障害(ADHD / ASD)と診断され、日々その症状と戦っています。
そんな私がこれらをご説明しますね。それではお付き合いください。
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目次
発達障害とは?その種類について
発達障害者支援法で定義されている通り、発達障害は以下の3つに区分されます。
- 広汎性発達障害(PDD)
- 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
広汎性発達障害とは(以下、PDD)
PDDとは、「精神機能の広い領域に関わる発達障害」という意味で、自閉症、アスペルガー症候群、レット症候群、小児期崩壊性障害などの総称のことを指します。
アメリカ精神医学会が2013年に発行した「精神障害の診断・統計マニュアル」第5版(DSM-5。日本語版監修:日本精神神経学会/医学書院)では、自閉症、アスペルガー症候群を中心とする複数の発達障害は「自閉スペクトラム症」という一つのカテゴリーにまとめられることになりました。
スペクトラムとは英語で連続体・分布範囲のこと。
引用 : Wikipedia
自閉症、アスペルガー症候群などは独立した別々の発達障害ではありません。年齢や症状の強さによって診断名が異なるだけで、類似性のある「ひとつながりの障害群」と思っていただけると分かりやすいかと思います。
これら自閉症、アスペルガー症候群などに関わる発達障害は、以下の3つ
- 対人関係、社会性の障害
- スムーズなコミュニケーションができない(言語機能の発達障害)
- 想像力の障害(固執的なこだわりと興味の偏り)
これらはイギリスの児童精神科医ローナ・ウィングが自閉症について定義したものです。これは「ウィングの3つ組」と呼ばれています。
「ウィング3つ組」についてはこちらが詳しいのでご参照ください。関連記事:「ローナ・ウィングの3つ組 ~アスペルガー症候群に見られる代表的な特性と3つのタイプ」
また以下の書籍はローナ・ウィング著の「自閉症の入門書」です。専門書ですが読みやすくおすすめです。
PDDの日常生活は困ったことがたくさん
PDDの人は日常生活において、周囲との折り合いをつけることを苦手としています。
急な予定変更も苦手で、優先順位に戸惑いやすいため、臨機応変さを求める職場では本来の力を発揮できないことが少なくありません。
私の話
初めて接客業をした時、先輩のスタッフに横で指導して貰いながら、実際のお客さん相手に接客をする練習をしていたのですが、想像以上にマルチタスクすぎて一瞬真っ白になった時があります。
「大丈夫!?」と肩をポンポンとたたかれて気づいたのですが、その時はなんで今立ってるのかも分からなくなってしまい…。
前日寝ていませんでしたということで話は流れましたが、この時はまだ私は発達障害の診断を受ける前、社会に出て疲弊していた頃の話です。
注意欠陥・多動性障害とは(以下、ADHD)
ADHDは2つの障害を合わせた名称です。
- 注意欠如(Attention-deficit)
- 多動性(hyperactivity disorder)
ADHDはこれら頭文字から取ったものです。
これら2つを簡単にご説明しますね。
注意欠如とは?
注意欠如とは以下の特徴があります。
- 集中力が維持できない
- 気が散りやすい
- 忘れっぽい
多動性とは?
多動性とは以下の特徴があります。
- 落ち着きがなく、じっとしていられない
(多動性と合わせて、衝動性も認められています。)
また過去記事でADHDについて詳しく書きました。よければこちらもどうぞ。関連記事:「【ADHD】調べれば調べるほど分からない!うっかり脳の原因とは?」
ADHDの認識について
ADHDは「精神疾患の診断・統計マニュアル」の第3版(DSM-3)で初めて記載されました。
一方日本では、アメリカより一足早く2004年成立の発達障害者支援法で、ADHDは発達障害のひとつとして認知されるようになっています。
不注意、多動性、衝動性が確認される年齢は、DSM-5テキスト改訂版では7歳まで。DSM-5までは12歳までと変更されています。さらに成人での診断が意識された内容となっているのですが
このことからも分かるように、これまでADHDは子どもの障害として考えられてきました。
最近では大人ADHDはテレビ、ラジオ、書籍などでも目にしたり聞いたりする機会が増えていますよね。
社会に出てから発覚した日常生活での支障がADHDの特性だったと認められるケースも増えてきているようです。
社内にどうも落ち着きがない、ありえないミスが多い、忘れ物もひどく時間管理も下手で約束を守れない人はいないでしょうか?
そういう人が全てそうだとは言い切れませんが、もしかしたらそれはADHDの特性かもしれません。
学習障害とは(以下、LD)
LDは、主に読み書き、計算するという学習に仏ような能力に乏しい状態を指します。
(DSM-5)では「限局性学習症」と名称が変更されています。日本では1999年に文部科学省が以下のように定義しています。
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。出典 : 文部科学省 発達障害の定義について
上記のように、通称、学習障害は、教育と医学において、定義の多少の違いがあることが分かりますね。
発達障害の特性はだれにでもある?
発達障害の診断は、専門医によって結果は変わると言われています。人によっては特定まで時間がかかりますし、簡単なものではありません。
発達障害の特性は前述の通り、誰にでも少なからず見られる症状です。誰でもひとつやふたつは見当たるのではないでしょうか?
私の話
私はADHD / ASDと診断されるまで約6ヶ月かかりました。田舎に住んでいるのですが、診断ができる医師が予約がたまっており予約1ヶ月後まで埋まっている状態でした。(2015年頃)それだけ診断を受ける人が多いということですね。
特に私は忘れ物がひどく、よく大事な書類を無くしていました。
見積書、請求書など大事な書類をどこに入れたかわからなくなってしまいます。1年に一回無くしてしまうくらいなら、それほど驚かれませんよね。ただこれが毎回続くとどうでしょうか?
どれだけ気を使って大事な書類を保存したとしても、どこに置いたか分からなくなってしまいます。
ここまでくると単なる不注意では済まされなくなりますよね。
これらのケースは、発達障害の特性のひとつです。
医学的に発達障害と認められるのは、その特性が顕著であり、その特性によって日常生活に支障をきたす場合です。
発達障害の診断の曖昧さの話
それではどれくらいの頻度でその特性が表れれば発達障害と診断されるのでしょうか?
例えば私の場合。
「大事な書類をなくす」ことをどれくらいの頻度で、どれだけ支障をきたし、どれだけ迷惑をかけたか?という部分だけで「発達障害であるかどうか」の明確な線引きができる訳ではありません。
例えば
1週間に1回 大事な書類をなくすと発達障害
と明確な線引きを決めたとしましょう。すると2週間に1回大事な書類を無くしてしまい日常生活に支障をきたす人はその対象外ということになってしまいます。当人がどれだけ困っていたとしてもです。
発達障害の明確な線引きはするべきじゃない?
発達障害が起こる原因はすべてが明らかになっているわけではありません。多くの仮説と検証が現在も試みられているのです。
発達障害の知識が拡散され広く浸透されることは周囲の人にも当人にとってもメリットが大きいです。しかし、その知識が中途半端なものだと、不幸を引き起こす場合もあります。
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終わりに : 気になる方は自分でセルフチェックしてみよう
もし「自分は発達障害かもしれない」と感じるあなた、まずセルフチェックをしてみてはどうでしょうか?
発達障害の診断はもちろん専門医に任せるべきですが、自分が発達障害である可能性をざっくり探るレベルであればセルフチェックを利用するのが良いでしょう。
以下のサイトでは、該当する項目にチェックする方法で進めることができます。関連記事 : ADHDのセルフチェック
言うまでもなく、セルフチェック方式は自身の行為や意識を明確にする必要があります。ですので簡易的な方法では診断に限界があると言うことをここでは強調しておきます。
適切な環境で適切な診断を貰いたい場合は、専門医に診断してもらうことを強くおすすめしますよ。
それでは最後までお読みくださりありがとうございました。